京都戦の勝利の余韻に浸る1週間。

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 

さて、仲間のブログなんかでも新スタジアムについて色々書かれております。

 

何故、ここにきてみんな騒いでいるのか。

 

何が問題なのか。

 

おさるなりに少し整理して考えてみました。

 

 

まず、栃木県が推し進めている総合スポーツゾーン構想。

 

西川田の総合運動公園を中心としたエリアに「陸上競技場兼サッカー場」「体育館」「武道館」「屋内水泳場」が新設されます。

 

また、既存の設備の改築、それから周辺道路の整備も行われます。

 

■総合スポーツゾーン構想についての詳細はこちらをご参照ください。

http://www.pref.tochigi.lg.jp/h13/zentaikousou/index.html

 

これらは県内のスポーツ推進の目的もありますが、7年後の2022年に栃木県で行われる国体に合わせて計画・整備されております。

 

 

さて、ここで問題なのが「陸上競技場兼サッカー場」。

 

 

先週下野新聞で報道がありましたが、概算工事費が173億円を見込んでいると。

 

陸上競技専用のスタジアム。或いはサッカー専用スタジアムであるならここまでの費用はかからないと思いますが、兼用にしたこと、それから、今後栃木SCが使用することを見込んでJ1ライセンス取得できる競技場にすること(全席屋根や多数のトイレ設置など)を考慮するとこのくらいの工費がかかると。

 

大変な高額ですが、その背景にあるのは現在のオリンピック需要、それから震災の復興需要で建設業界の原価が高騰しているのも理由として挙げられます。

 

ですので、過去に建設された他のスタジアムとの単純比較はできません。特にバブル期、或いは震災以前に建設された他のスタジアムとは金額が異なるのは当然のことです。

 

因みに新国立競技場が当初1,300億円でできると試算したものの、ゼネコンが計算しなおしたら建設原価の高騰もあって、3,000億かかる見積もりができて問題になったのは皆さんご存知だと思います。単純に倍以上ですね。

 

 

ですが、現在ガンバ大阪が建設中の4万人収容の全席屋根つきの新スタジアム(サッカー専用)が140億円です。栃木県の建設するスタジアムは25千人収容の全席屋根つきスタジアム、プラスして陸上競技場として使用する設備を兼ね備えるということを考えれば、妥当な金額だと思います。

 

 

・・・もちろん、このスタジアムでいいかどうか、納得しているかどうかという事とは全く別の話ですよ。

 

 

じゃあ、なぜそもそも栃木SCが今後使用することを前提としたスタジアムを作らなければいけないのか。その背景にはJリーグの掲げるライセンス制度があります。

 

 

現在栃木SCが使用している栃木県グリーンスタジアムは、屋根やトイレの数等でJ1ライセンスの基準を一部満たしておりません。

 

にもかかわらず、何故J1ライセンスを取得できたのかというと、前述の総合スポーツゾーン構想で新スタジアムを作りますよということで特別にライセンスを発行してもらっている状態なのです。

 

■競技場整備 J1昇格の壁

http://www.yomiuri.co.jp/local/tochigi/feature/CO005193/20130204-OYT8T01783.html

 

 

 

でね。

 

 

おさるがここの所感じているのは、それぞれの立場から見ればこの問題は全く変わってくると思うんです。

 

 

例えば、国体が行われる関係で、陸上競技場の設備を推し進めたい側(陸連)からみれば、栃木SCがスタジアムを欲しがっていると。それに乗っかって兼用の陸上競技場を造れば、他にない素晴らしいスタジアムができるわけですよね。全席屋根付き、トイレの数もストレスなく使用できる数が整備されるわけで。ましてやほぼ隔週に行われるサッカーのスタジアムであれば知名度も高くなる。

 

県にしてみれば、陸上競技場とサッカー専用スタジアムと2つ作るよりは1つ作った方が安くなるし、税金やら国の補助やら様々な面でコストダウンにつながるかもしれないという思惑がある。

 

栃木SC側から見れば、当然サッカー専用スタジアムが欲しいし、現状のグリーンスタジアム(県の所有物)の改修でもいいじゃないかと思っている所に、県が新スタジアム造るから今後はそっち使って!と言われていると。

 

 

しかし、現時点でもJリーグの基準を満たすための整備で、グリーンスタジアムの改修に既に16億円の税金を投入しております。しかも、グリーンスタジアムは県の所有物ですので、栃木SCは最優先に使わせてもらっているだけのものなのです。

 

 

 

現在、栃木県民の人口はおよそ200万人です。

 

そのうち、栃木SCの試合に訪れる人は1試合でだいたい3,000人とか4,000人程度ですよね。(5,000人入る試合でも 1,000人くらいはビジターサポだったりしますから)

 

3,000/200万人 = 0.15%と県民の1%にも満たない数がスタジアムに訪れているわけで、逆に言えば大多数の栃木県民にとっては栃木SCに興味のない層が多いとも言えます。(実際にはスタジアムに来ないだけで興味を持っている方も大勢いらっしゃるとは思いますが)

 

つまり、大多数の県民側からみれば、何故栃木SCの為に血税を投入してスタジアムを作る必要があるのか?という風にみられる可能性があるということです。

 

 

つまり、立場が変われば、見方も変わるし、ある側から見れば県がおかしいと思うかもしれない。ある側から見れば陸連がおかしい、栃木SCがおかしい、制度がおかしい、法律がおかしい・・・色々な立場によってそれぞれ感じ方も見え方も異なるんだなと。

 

 

でも、おかしなことに気づきますよね。

 

新スタジアムは栃木SCが作れと頼んだわけじゃない。前述のようになんならグリスタをそのまま使用したって構わない。多くのサポはJリーグのライセンス制度などなければ、ずっとグリスタで試合してほしいと思っているはずです。グリスタでの今までの歴史もありますからね。

 

だけど、Jリーグライセンス制度では、現状のままでは例えJ2優勝してもJ1に上がることができなくなってしまう。その上で総合スポーツゾーン構想に載って、競技場を整備したい県、それから陸連等の思惑もあってあのようなスタジアムを作ることになりました。

 

ですから、国体が終われば、県内の各種大会の競技場として使用するのは勿論ですが、栃木SCが使わざるをえないってだけで、栃木SC側にしてみれば、どうしても新スタジアムじゃなければ嫌だ!とは一言も言ってないわけですよね。

 

 

ただ、こういう背景は殆どの県民は知りません。

 

 

ましてや前述のように大多数の県民にとっては、栃木SCがどうなったって特に生活に支障をきたさないわけです。

 

 

ですから、今、多くの栃木SCサポが現在の新スタジアムに関して声をあげているのは、我々が望んでいないものを、我々の声の届かないところで決定していることに怒っているのです。

 

 

何も、このスタジアムじゃ嫌だとか、サッカー専用スタジアムを作ってほしい!等と駄々をこねているわけではありません。(そりゃもちろん、サッカー専用スタジアムができるんだったらそれが一番ですけど)

 

 

怖いのは、出来上がった以降の維持管理費用を押し付けられて、さらに大多数の県民に税金泥棒呼ばわりされるのが一番怖い。

 

だから、こういう風に問題視して声をあげることは非常に大切だと思います。

 

 

 

でもね。

 

おさるがもし、栃木SCのサポーターではなく、栃木県民の大多数側の栃木SCに興味のない層の人間だったらどう思うだろう?

 

と考えてみたんです。

 

こういう背景があるのも承知の上でどう感じるだろう?ってね。

 

毎試合3,000人とか4,000人くらいしか来ない観客。

 

J1ライセンス制度の為といいつつJ2昇格以降、毎年のように中位の成績で、現在も昇格には程遠い成績。

 

なんでその為に(国体がらみで陸連が絡んでいるとはいえ)血税を173億も投入する必要があるの?

 

恐らくそう感じると思います。

 

 

ですから、立場が変われば感じ方も変わります。

 

それを反発しあうのではなく、お互いに妥協案を見つけ、お互いに納得いく形で進めてほしいなと思うわけです。

 

あいつが悪い、こいつが悪いと言い合うのでは何も進みません。平行線のままです。

 

栃木SCの置かれている背景を知って欲しいと思うのと同じで、県の立場、陸連の立場、或いは大多数の県民の立場とその背景を我々も知ったうえで、お互いに妥協できる道を考えるべきなのではと個人的には思っております。

 

 

まあでもさ。

 

これが毎試合数万人の観客であふれ、大口スポンサーも沢山あって、クラブチームとしての収入も大きいチームだったらこんな問題は起こらないわけです。別に自前でスタジアム造ったっていいし、民間資本でスタジアム造ってそれを使ったっていいし、もし行政(県)がスタジアム造ったとしても、それだけ県民に浸透して盛り上がっているコンテンツであれば殆どの県民は文句言わないわけですよね。

 

ですから、そこまでの盛り上げができていないという面では、我々のクラブにも問題があると思います。

 

おさる個人でも、クラブチームをサポートするサポーターとしての立場から、集客やチーム全体を盛り上げる為の努力がいかに不足しているかということを痛感しております。